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ゲラン一族出身で香水業界に革新をもたらしたブランド「ニコライ」の魅力とは?

 ”お茶系の香り”ブームの中でも独自性のある香りが人気を博したフランス発のフレグランスブランド「ニコライ(NICOLAÏ)」。創設者兼マスターパフューマーのパトリシア・ド・ニコライ(Patricia de Nicolaï)は、ゲラン一族に生まれ、フランス調香師協会「フランセーズ・デ・パフューム・ソシエテ」による“若手調香師の国際賞”「パフューム・クレアトゥール」を女性で初めて受賞するなど実力は折り紙付きだ。1989年に夫とともに立ち上げたニコライは、創業から30年以上が経つ今も独立したブランドとして運営。現在CEOを務める息子のアクセル・ド・ニコライ(Axel de Nicolai)に、ブランドの魅力や自己資本の姿勢を貫く重要性、グローバルでの人気の香りについて聞いた。

ーニコライを立ち上げたパトリシアさんはゲラン一族という香水業界の”サラブレッド”です。アクセルさんも幼い頃からブランドに携わるよう教育を受けたのでしょうか。

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 直接指導を受けるようなことはありませんでしたが、母のラボで学校の宿題をしたり、幼い頃からフレグランスは身近な存在でした。ニコライは父と母が創業したブランドで、家族経営で独立性を保ちながら運営していたので、子どもながらに大きくなったら自分もニコライをサポートするんだという気持ちはありました。母の調香師としての活躍を尊敬していたので、自分はビジネス面で支えようと大手メーカーで経験を積みました。

ー家族経営による独立性はブランドにどんな影響を与えているのでしょうか。

 才能のある調香師の挑戦に制限をかけないことだと思います。売り上げや会社の成長を第一にすると、どうしても年間の新作の数や細かいターゲティングで香りを作る必要がありますが、そうした環境では挑戦しにくく香りの面白みに欠けてしまう。自由な感性で生み出された香りが結果的にブランドの世界観を支えているので、独立性を保つことはブランドを強固にすることにつながります。さらに、原料の調達から調香、生産にいたるまで自社でまかなうことは母が大切にしている”透明性”を担保するために重要です。製造面でも昔ながらの製法を採用し、手作業でボトル詰めまで行うのは、おそらく外部資本が入った場合は難しいことだと思います。

ーパトリシアさんはブランド創業当時から”透明性”を大切にしていますが、それはなぜでしょうか?

 30年前、当時の香水業界はとても閉鎖的で、特に調香に関してはブラックボックス状態だったんですが、彼女はそれを嫌いました。隠されたことによる神秘性ではなく、香りそのものの魅力を感じて欲しかったんだと思います。ニコライが出来た時、店舗の隣には「調香師」と書かれたガラス張りのラボを設けて、香水ができる様子を公開したんです。そうした”透明性”を大切にする姿勢は、今のニコライでの自由な香水づくりにもつながっていると思います。

ーパトリシアさんが新しい香水を作る時のインスピレーション源について教えてください。

 旅先での記憶のような経験だったり、使いたい香料が起点になったり、香り作りのスタートはさまざまだと聞きました。彼女はニコライのスタッフとコミュニケーションを取るのがとても好きなので、スタッフのバケーションの話がインスピレーションになることもあるそうです。それでも一番多いのは、まず香料にフォーカスをあてて、そこからイメージを膨らませるという方法。彼女は「香水博物館(オスモテック:Osmothèque)」の館長をしていたこともあり、世界中の香水と香料に精通していますから。

ーアクセルさんがお気に入りの香りは?

 ブランド30周年を記念して作られた「バイカルレザー アンタンス」という香りです。母もこの香りが大好きで、自分の傑作のひとつだと言っていました。ロシアで一番深いバイカル湖と、その周辺の森林の雄大さ、そして植物のタンニンでなめした皮の深さが美しく表現されています。

ーレザーノートがしっかりとした重さがありますが、ペッパーのスパイシーさも香りますね。この香りをどんなシーンで付けますか?

 母は毎朝これをつけるようです。香りをつける時のちょっとしたコツなんですが、好きな時に好きなものをまとうのは大前提ではあるのですが、数ヶ月をインターバルとしてつける香りを変えると、いつでも新鮮に楽しむことができるんです。ずっと同じ香りをつけていると鼻が慣れてしまうんです。

ー現在、フランスやサウジアラビア、韓国、アラブ首長国連邦、中国など50ヶ国以上で展開しています。グローバルではどんな香りが人気でしょうか。

 フランスと中東では「パチョリ アンタンス」が人気です。香水業界のセオリーとして、フランスと中東では人気の傾向が異なるのことが多いので、これは珍しいことなんですよ。パチョリという香料は1970〜80年代に人気で、さまざまなブランドが香水を発売しました。ただ、パチョリは少し甘さがあり重さが出るので、人気もあるけど苦手な人も一定数いるという難しさもあったので、だからこそパトリシアは挑戦したくなったようです。ゼラニウムやサンダルウッドを組み合わせることでオリエンタルなムードを添えて、それまでのパチョリの香水とは異なる香りに仕上げられています。

ー日本には2018年に初上陸し、ノーズショップで展開しています。どの香りが人気でしょうか?

 日本では「フィグティー」の香りが人気ですが、東欧とアメリカでも好評な香りなんです。フィグティーはロンドンに住んでいた時の生活がインスピレーションになっていて、母が紅茶のカルチャーに触発されて作ったもの。「マテ茶」を加えるなどひねりを効かせたフルーツティーな香りを表現したそうです。

ー日本人におすすめしたい香りはありますか?

 「オー ドゥ ユズ」や「ローシック」はどちらもまろやかな香り立ちなので使いやすいと思います。オーフレッシュというニコライのラインナップの中でも軽やかなものなので、心地よく香りをまといたい時におすすめです。オー ドゥ ユズはパトリシアがユズを使って「おいしい香り」を作りたいと考えて生まれたものなんですが、ユズは日本の方にとってもなじみが深いと思うので、ぜひ試してみていただきたいです。

ーノーズショップで取り扱うようになったきっかけは?

 「エクソンス(Esxence)」(世界的な香水の展示会)で中森社長(中森友喜:ノーズショップ代表取締役)に会ったのがきっかけです。日本の香水市場は大きくはないものの、伝統やカルチャーをふまえて私たちの香水を受け入れてくれる土壌があるのではないかと感じていたので、以前から興味がありました。もちろんどこでもよかったわけではなく、ノーズショップのお店を見せてもらったりして、それぞれのブランドに対するリスペクトを感じましたし、市場が成熟しきっていない日本でもっとカジュアルに香りを楽しんでもらいたいという姿勢にも共感したので、取引をすることに決めたんです。

ーブランド創業当時よりも、競合となるようなニッチフレグランスは増えていると思います。ニコライで最も重要としていることは?

 両親が築き上げたニコライの世界観を守り、より強固なものにすることが重要です。ニコライの核は母が生み出す素晴らしい香りなので、目先のトレンドに飛びついて新作を出すようなことはしません。私たちはニッチフレグランスや独立したブランドの中では歴史が長いと思いますが、そこに固執するわけではなく常に挑戦したいとも思っています。私の役目としては、母やアシスタントたちが自由に調香できる環境を整えること。外部の資本を入れず独立性を保つのはそういう意味合いもあるんです。

ー近年のニッチフレグランス市場についてはどう思いますか?

 両親がブランドを起こした時に比べて格段にブランド数は増えました。私たちとしてはこれは良いことだと思っています。香水やニッチフレグランス自体の認知度が高まり、消費者の選択肢が増え、皆さんが香水をより楽しんでくれているということですから。競争路線ばかり考えているとブランドがやりたいことがないがしろになってしまうので、私たちはこれまでの歩みを大切に、粛々と独自性を高めていこうと思っています。ブランドがどうあるべきかを第一に行動するということですね。

ー今後の新作の予定は?

 母は常に3、4個の香りを同時進行で考えているんです。実はほぼ完成しているものがいくつかあり、そのほかさらに3つくらいの新しい香りに取り掛かっているところ。私たちは年間で新作の個数を明確に決めているわけではないので、発売時期は未定なのですが...。まだまだ母の頭の中にはたくさんのアイデアがあるようなので、今後も楽しみにしていてください。

アクセル・ド・ニコライ(ニコライ CEO)、メロディー・ユーレン(ニコライ エクスポートマネジャー)

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