黒河内真衣子が手掛ける「マメ クロゴウチ（Mame Kurogouchi）」が、2023年秋冬コレクションのショーをパリで開催した。テーマは「Bamboo Interactions」、先シーズンに引き続き「竹籠」にフォーカスし、竹の素材の持つ魅力を服を通じて表現した。

　ブランドは年間を通して「竹籠とその周辺文化」を主軸に置き、クリエイションを発表している。特に黒河内は作家 飯塚琅玕斎（1890〜1958年）の作品に魅せられ、インスピレーションソースとして、色調や、重厚さと軽妙さを併せ持つ造形バランス、伸びやかに交差する線の優雅さを服で表現。それに加え、「多くの職人が『竹』という存在に魅了され、素材との葛藤を経て、多くの美しい作品が生まれるまでの精神性に感銘を受けた」と話し、作品という成果物だけではない、作家たちが向き合ってきた目に見えない制作過程も汲み取り、コレクションを作り上げていったという。

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　先シーズンは細く繊細な網目のデザインだったが、今シーズンはさらにモダンにアップデートされた力強く大胆な造形をデザインソースに採用。ゆったり丸みを帯びたシルエットのシックなセットアップは、実用的なポケット付のベルトでウエストマークされ、スタイルを引き締めるワンポイントに。

　粘土状の染料で生み出すマーブルプリントのトップスやパンツほか、原毛を用いたウールニットを折り紙のように畳んだ状態で染め、開くと幾何学模様が現れる「折り紙染め」という手法を用いたニットなど、グラフィカルなデザインも目を引いた。帯を縫い合わせ、ストライプに仕立てたドレスは、複雑に絡んだ曲線で竹の軽快さと躍動感を演出している。

　カラーは竹からインスパイアされたブラウンやカーキを基調に、ブラックやネイビーも多用。編みのストライプにネイビーを差し込むなど、竹籠の陰影を表現したという。

　アクセサリーは先シーズンに引き続き、竹を用いたピアスやバングルがダークブラウンで登場するほか、コード刺繍を用いた柔らかい編みバッグ、「履物 関づか」とのコラボレーションフットウェアも引き続き登場した。

　「かつて色々なデザイナーが竹をテーマにコレクションを発表してきた。自分の場合、竹のフレキシブルに豊かになびく優雅さをどういうファブリックで表現するかを大切にしたかった。カゴバックのように固そうに見えて、実はシューレースでできているのでくしゃっと持てるバッグであったり、『竹』は存在としてのインスピレーションではあるが、自分のマインドを通して素材の堅さだけではなく、異なる表現でコレクションに落とし込めたと思う」と黒河内はショー後に振り返った。