デジタルで開幕したパリのオートクチュールウィークの1月26日、「シャネル（CHANEL）」がグラン パレにて撮影された2021年春夏 オートクチュール コレクション ショーのフィルムを公開した。

（文・辻 富由子）

　カール・ラガーフェルド（Karl Lagerfeld）からアーティスティックディレクターのバトンを引き継いだヴィルジニー・ヴィアール（Virginie Viard）は、コレクション発表について「大々的なショーを開催することができないので、少人数が列を成してグラン パレの階段を降り、花のアーチをくぐるアイデアを思いついた。家族が集うセレブレーション、例えば結婚式のように...」と語っている。

　映像は約10分。撮影のディレクションを手がけたのは、フォトグラファーであり、グラフィックデザイナー、映画監督も務めるアントン・コービン（Anton Corbijn）。コービンの描いたシャネルのモノグラムとカメリアは、ショーの招待状とフォトアルバムのカバーにも使われた。

　また、モデルたちのヴィジュアルも、家族のポートレートのようなスタイルで撮影。これは同時期にカンボン通り31番地のオートクチュールサロンをリニューアルするため、伝説的な鏡張りの階段の下にモデルたちを集め「フォトアルバムで見るような家族写真を撮りたい」というヴィアールの思いを反映したもの。

　ショーは夏のイヴニングパーティーのような雰囲気で行われ、花冠を被ったモデルたちはアーチをくぐり、コンフェッティの散らばったランウェイを歩いた。シャネルらしさを感じさせたのはメンズのウェストコートからインスパイアされたパンツスーツや、タンゴダンサーが履くようなダブルストラップのバイカラーメリージェーンシューズ。

　また、たっぷりとチュールを使ったロングドレスやクレープジョーゼットのフリルを重ねたボレロなど、ロマンティックな要素も。最後には馬に乗った花嫁が登場し、1920年代の写真から飛び出してきたかのようなトレーンを引くロングドレスがいっそう目を引いた。

　グラン パレの客席には、ブランドのアンバサダーであるマリオン・コティヤール（Marion Cotillard）やペネロペ・クルス（Penélope Cruz）、アルマ・ホドロフスキー（Alma Jodorowsky）ヴァネッサ・パラディ（Vanessa Paradis）と娘のリリー＝ローズ・デップ（Lily-Rose Depp）の姿も。

マリオン コティヤール

Image by Anton Corbijn

「私は家族が大勢集まる場が大好き。さまざまな世代が一同に集うことで、とても温かな気持ちになる。今のシャネルにも同じスピリットがある。シャネルもまた、一つの家族のようなものだから」というヴィアールの言葉どおり、どこかノスタルジックでアットホームな雰囲気が心に残るショーとなった。

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CHANEL 2021年オートクチュールコレクション

2021 SPRING SUMMER HAUTE COUTURE COLLECTIONファッションショー