エスティ ローダー カンパニーズ（ESTEE LAUDER COMPANIES、以下 エスティ ローダー社）が、「トム フォード（TOM FORD）」を28億ドル（約3900億円）で買収することで合意したと発表した。エスティ ローダー社にとって過去最大規模の買収となる。なお、アイウェアのライセンスを引き続きイタリアのマルコリン（Marcolin）社が所有し、同社がエスティ ローダー社に2億5000万ドル（約350億円）を支払うため、エスティ ローダー社がトム フォードに支払うのは23億ドル（約3200億円）。現金、借入金および2025年7月以降に支払期日となる3億ドル（約420億円）の繰延べ支払いを組み合わせて、本取引の資金を調達することを想定している。

　エスティ ローダー社は2005年にトム フォードのビューティ事業のライセンスを取得し、フレグランスやメイクアップ事業を運営。特にフレグランスは2022年第3四半期の実績で2桁の成長を記録し業績をけん引している。今後数年間で年間売上高は10億ドルに達すると予想されている。買収後はクリエイティブや意思決定の機敏性の向上、オンラインの拡充を実施し、長期的なキャッシュフローの確保、アイウェアの新たなライセンス収入といったメリットが見込めるという。

　ブランド創業者のトム・フォード（Tom Ford）氏は、2023年末までクリエイティブ ビジョナリーとして携わる。トム・フォード・インターナショナルのドメニコ・デ・ソーレ（Domenico De Sole）会長は、同時期までコンサルタントとして留任。長年トム フォードのプレタポルテやオーダーメイド製品、靴などの製造販売を手がけてきたエルメネジルド・ゼニア社とは引き続き連携し、ラグジュアリーブランドとしての地位をより強固なものにするとしている。

　エスティ ローダー社の社長兼最高経営責任者ファブリツィオ・フレダ（Fabrizio Freda）氏は、「トム フォード ビューティが高級フレグランスとメイクアップで成功を収め、世界中のハイクラスの消費者のために、魅力的で高品質の製品を作り続けていることを大変誇りに思います。この戦略的買収は、自社ブランドであるトム フォード ビューティの新たな可能性を引き出し、当社の成長計画を強化するものです。また、グローバルプレステージビューティのリーディングカンパニーになるという当社のコミットメントを再確認しながら、ラグジュアリービューティという有望なカテゴリーにおける当社の勢いを長期的にさらに後押ししてくれることでしょう」と期待を寄せた。

　フォード氏は「エスティ ローダー社は、このブランドにとって理想的な企業であり、今回の買収にこれ以上ない喜びを感じています。彼らは私が会社を設立した当初から素晴らしいパートナーであり、トム フォード ブランドの次の章では、彼らがラグジュアリー スチュワードとなることに感激しています」と述べた。