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俳優 池松壮亮にとって”共演者"とはどのような存在か?

俳優 池松壮亮にとって”共演者"とはどのような存在か?

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俳優・池松壮亮にとって、共演者とはどういう存在なのか。ドラマ10『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』で監督・オダギリジョーのもとに集結した多彩なキャストそれぞれの「すごさ」について、主演の池松に話を聞いた。

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すごい俳優が芝居を始めると空間が変わる

さて、ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』シーズン2、めちゃくちゃおもしろくて2回観てきました。2回目でもまた発見があって、3回目もいけそうな。

ありがとうございます。ガヤガヤ賑やかで忙しい作品ですから、たしかに2回目以降だともう少し落ち着いて観られそうですね。

― それで唐突かもしれないんですけど、池松さんが尊敬できる人、感銘を受ける人って、どういう人ですか?

同業者であれば、ちゃんとものづくりをしようとしている人、ものづくりを楽しもうとしている人には感銘を受けますし、一緒にやっていて刺激になります。

ものづくりをするというのは? ただ映画やドラマに出るという意味ではないですよね?

そうですね。俳優も含めて、ものづくりってどこまでもやろうとすればやれるというか、自分たちの価値観の中にしかゴールがないものなので、逆にいくらでもサボれて仕事としてこなすこともできるものなんですね。でもやっぱりクリエイティブを楽しんでる人たちが好きだし、願わくばみんながそうであってほしい、それが許される場であってほしい気持ちはあります。

ご自身が出演される作品で、共演者って気にされますか?

究極、誰でもいいと…いや、そんなこと言っちゃダメですね。気にします(笑)。ただ、僕は俳優って、誰もができるものだと思ってるんですね。俳優を卑下しているわけではなくて、誰もがカメラに映ることができて、そこに線引きはない。むしろプロよりも素人の方が良い場合だってある。共演者としても誰が来ようとも、その限られた出会いの中で、どうみんなで答えを探すかっていうことが集団芸術の可能性だと思っているので、誰でもいいみたいな言い方をしてしまったんですけど。

共演者は僕が選べるものではありません。極端な事を言うと、集団芸術はこの世界と似ていて、色んな人が集まっていて、合う人も合わない人も当然出てきます。そこで作品を良くすることに向かってどういう答えを出せるか、そのことの方が重要だと思っています。

そこにいる人たちで、いかにいいものをつくるかという。

もちろんキャスティングは超重要な創作過程のひとつだと思っているので、ちゃんと誰かが考えたうえで、その役に適している人が来てくれて、その人の心がこの作品に向かっている、その事を共有できるときが最もやりやすいというか、嬉しいですよね。共演者は共にものづくりをする人たちですから。

『オリバーな犬』といえば、シーズン1からキャストの豪華さでも話題になってましたよね。今日は主演の池松さんから見た共演者それぞれの「すごさ」について聞きたいなと。

みなさんすごいですからね。あと共演者が多過ぎて全員喋る時間がないんですが、まず今回とくに活躍するのは(佐藤)浩市さんと橋爪(功)さんでしょうか。シーズン2では特に、このお2人が現場も物語も引っ張ってくれたと思います。特に僕は浩市さんと同じシーンが多かったんですが、現場でほんとに楽しそうに遊んでいる姿が印象的です。その姿は僕ら歳下の俳優たちからするとものすごく刺激になっていたはずです。今回は寛一郎も出てますからね。息子の前でよくあんな格好ができるなと思っていました(笑)。

強烈な衣装でした(笑)。

すごい俳優さんっていうのは空間が変わるんです。よーいスタートでお芝居を始めた瞬間に。浩市さんのスイッチが入った瞬間の凄味は他の作品でもさんざん浴びてきましたし、今回の役に関しても本当に楽しそうにこの作品と戯れていて、浩市さんのそういう態度に何度も勇気づけられました。

寛一郎さんはいかがでしたか?

寛一郎は俳優になる前に出会っていて、浩市さん経由ではなく別の人から紹介されて出会いました。その頃はちょうど俳優になるか迷っている頃で、その後デビューしてどんどん良い俳優になっていく姿を陰ながら見ていました。今回初共演では無いんですが、何でしょう、血なんでしょうか、代々受け継がれるあの見事な芝居勘と、俳優としてどんどん活躍していく姿に、今回の現場でもこっそり嬉しくなっていました。

息子といえば他にも……

息子だらけです(笑)。

たしかに、松田龍平さん、松田翔太さん、佐藤緋美さん、仲野太賀さん…俳優の息子が多いですよね。そして村上淳さんと村上虹郎さんは親子で出演されています。

虹郎君はほぼ知らないんですけど、村じゅんさんのことはよく知っています。本当におもしろい方です。やんちゃで博識で。オリバーではもうやりたい放題で、毎回、遊びすぎですよっていうぐらい。

それは本番でですか?

本番で。オダギリさんと年代も近くて、ずっと昔から一緒にやってきた人ですから。とことん遊んでますよ。ちょこちょこ、止められていたりしていますけど(笑)。現場での村じゅんさんの明るさに、いつも元気をもらっています。

あとは仲野太賀さん演じる渡も、今作ではキーマンになってきます。池松さんとの共演シーンも増えましたね。

そうですね。シーズン1では残念ながら会えませんでしたが、今回ようやく会えました。私生活ではよく会いますが、撮影現場では久しぶりに会いました。今回いよいよ事件が解決に向かう中で、超重要人物になるので、太賀はすごい楽しそうにやってましたけど。楽しそうすぎてちょっと怒られてました。

シーズン2では渡をはじめ、各キャラクターのお茶目な部分がより前に出てきた印象です。

シーズン1はコロナを経て、今なにをやるべきかということをオダギリさんが考え抜いて行き着いたこの作品が、果たしてどう捉えられるか、探っていた部分もありました。でも今回はシーズン1の反響も含めて可動域がさらに広がったというか、この作品が世の中の停滞をまるごと楽しんでるような気がしていました。寄り道や停滞が多く、厄介な人たちがワチャワチャ答えの出ないことをやっている。そのことがさらに前面に出ているかなと思います。

麻生久美子さんとの掛け合いもパワーアップというか、かなり進化しているように感じました。

シーズン1では、(池松さん演じる)一平は(麻生さん演じる)漆原を上司として少し軽蔑していたところもありましたが、今回に関しては同化してきてしまっている。漆原化することで、一平自身の人生の停滞も見せられたらなと。

麻生さんはほんとに気が良くて、なにを演じてもチャーミングですし、今回に関しても少女のようにキラキラと演じられている姿が印象的で。基本的にものすごくお芝居が上手な方だと思うんですけど、なによりもものすごく良いエネルギーが出ていて、それが作品に色濃く反映されているなと思います。

麻生さんがいないと『オリバーな犬』の世界は成立しないですよね。

はい。オダギリさんは基本的には、俳優たちに対しては自由にやってくださいというスタンスなんですね。だけど、麻生さんには本当に手取り足取り。

なんでですか(笑)。

昔からの仲で、同級生っぽいんですよね。麻生さんのときの演出スイッチがおもしろくて。楽しそうに2人で、一語一句練習してますからね。犬の着ぐるみ着た人と警察の格好した人が(笑)。みんなが一生懸命こだわり抜いて、くだらないことや無駄なことにとことん楽しめているように感じます。

作っている映画の中で演じていることがなにより好き

シーズン1から引き続き、永瀬正敏さんも出演されています。永瀬さんは映画俳優というイメージでドラマ出演自体が珍しいですよね。

『私立探偵 濱マイク』以来、だったようです。あまりに貴重ですよね。今回は映画じゃないですけど、永瀬さんが映った瞬間、映画になるぐらいの力を持っている方です。現場でも本当に楽しそうにやっていて、いつも親切でジェントルでかっこいい人です。

『オリバーな犬』に集まったのはオダギリさんが好んだ人たちで、大人としてかっこよくて、それでいてちゃんとそれぞれのリアリティを持っている。贅沢で賑やかな楽しい現場でした。

僕も本当にかっこいい人ばかりだなと思うんですけど、池松さんにとって「かっこいい」ってどういうことか定義できますか?

なにがかっこいいかはそれぞれですけど……各々の哲学とか美学、そういうものがあるうえでの表現って全然違ってくるんですよね。どう生きてきたのか、価値観、人柄とか、そういうものがどうしても出てくるのが俳優なので。うわべだけじゃない年輪というか、謙虚な哲学と美意識、矜持を持っている人たちを見るとかっこいいなと。

反対にどう間違えても裏で自分の喜びだけを考えているような快楽主義的な人をかっこいいとは思わないですね。

それは言葉にしなくても感じられるものとして?

そういうものだと思っています。

そして共演者の中で一番近い間柄なのが、監督のオダギリジョーさん自らが演じる警察犬・オリバーです。

オダギリさんがパート1で監督に出演に大変すぎたので、シーズン2ではオリバーの出番をだいぶ減らしていると思います(笑)。自分で演じて自分で撮るっていうのは想像以上に大変だと思います。

オリバーはパートナーとしていかがでしたか?

最高の相棒だと思っていますよ。犬オリバーも、オダギリオリバーも。オダギリさんが監督として画角などを決めるために、オリバーは代役の俳優さんでまずテストをするんです。代役の人はセリフをしっかり覚えてて、みんな軽く笑ったりしながら普通にテストを見てたのに、オダギリさんが本番をやると全然違うことしたりして、まわりは大爆笑なんてこともよくありました。代役の方がちょっと不憫でした(笑)。

オダギリさんが持っていっちゃうんですね。ちなみに一平にだけオリバーがおじさんに見える理由って、池松さんは聞かされていたんですか?

聞いていないですね。そういうことを気にしてしまうとこの世界観にはついていけません(笑)。でも、この先ひょっとしたらそこの核心部分に触れるような続編が…あるのかないのか僕にも分かりません。

まあ世の中、理由があることばっかりじゃないですからね。

ははは(笑)。世の中は分からないことばかりで、ミステリーでコメディです。ある意味このドラマのように。

お話を伺っていると、みなさんこの作品への参加を本当に楽しんでいることが伝わってきます。

とくにシーズン1に関しては、みんな本当に救われたように感じていたんです。2020年の末に、何か月も仕事を休んで、動いてる現場もない中でこういう台本が渡って、まさにお祭りのようでしたね。今回のシーズン2ではみんな忙しくなっていて集合するのに物凄く苦労していましたけど。

それでもシーズン1からほとんどのキャストが引き続き出演されていて、めちゃくちゃすごいなと思いました。

みんなこの作品が好きなんだと思います。オダギリさんが始めてみんなで喜んだお祭りを、いったん物語として完結させようと結集できました。

6話を観終わって、スッと腑に落ちました。前回の3話が終わったときはモヤっとしてた部分もありましたが。「オリバーな犬」って検索したら、検索候補に「打ち切り」って出てましたから(笑)。

そう思われますよね、あの終わり方はね(笑)。続編ができあがって良かったです。

いろんな共演者の方について聞いてきたんですけど、最後は池松さん自身についてお聞かせください。難しいかもしれませんが、ご自身が俳優として誇れるところってなんだと思いますか?

難しいですね(笑)。そういうことはあまり考えないようにはしてるんですけど、それでも自分の個性というものは自覚しています。あまり誇れるとは思わないけれど、今の時代の俳優という枠組みに対して、俳優っぽくないところはあるかもしれません。

というと?

俳優という価値観、それは時代によっても違うんですけど、今の時代においてはちょっと違う価値観を持ってしまっているのかなと。

うーん、すごく俳優らしく思えますけど。ストイックですし。

本当ですか。でも、なにか逸脱してしまっている。いろいろ。

型というか常識とされるものにハマりたくないみたいなところもありますか?

逸脱したいみたいな気持ちは実は全くなくて、でも自分の好きなものには忠実でありたいし、ものの価値観に対して、自分の頭で考えていたいというだけなんです。それが、今の世の中の常識からするとちょっと外れてしまっている。

ひとつ言えるのは、僕は演じることそのものだけに興味があるわけではなくて、作っている過程、作品をゴールに、演じながら考えたり積み上げたりしていくことがなにより好きなので、ものづくり以外のことにあまり興味がないというのが本音です。

ああ、少し理解できた気がします。ご自身でも映画を撮りたいとは?

そうですね。時がくればとは思っています。

Profile _ 池松壮亮(いけまつ・そうすけ)
1990年7月9日生まれ、福岡県出身。『ラスト サムライ』(03)で映画デビュー。『ぼくたちの家族』『紙の月』(14)で第57回ブルーリボン賞助演男優賞ほか多数受賞。『宮本から君へ』(19)で第93回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞など主要な映画賞の主演男優賞を多数受賞。近年の主な出演作に『アジアの天使』(21)、『ちょっと思い出しただけ』(22)など。2023年公開予定の待機作に、主演を務める『シン・仮面ライダー』がある。

Information

ドラマ10『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』 シーズン2

<放送予定>NHK総合
5話 9月27日(火)/再放送 10月4日(火)
6話 10月4日(火)/再放送 10月11日(火)
午後10:00〜10:45/再放送 午後3:10〜3:55
※全エピソードをNHKプラスでも配信します。
NHKプラス

脚本・演出・編集:オダギリジョー
出演:池松壮亮、オダギリジョー、永瀬正敏、麻生久美子、本田翼、岡山天音、玉城ティナ、くっきー!(野性爆弾)/永山瑛太/川島鈴遥、佐藤緋美、浅川梨奈/染谷将太/仲野太賀/村上虹郎、佐久間由衣、寛一郎、千原せいじ(千原兄弟)、河本準一(次長課長)/高良健吾/坂井真紀、葛山信吾、火野正平、竹内都子、村上淳、嶋田久作、甲本雅裕、鈴木慶一/國村隼/細野晴臣、香椎由宇、渋川清彦、我修院達也、宇野祥平/松たか子/黒木華/浜辺美波/濱田マリ、シシド・カフカ、河合優実、佐藤玲/風吹ジュン/松田龍平、松田翔太/松重豊、柄本明、橋爪功、佐藤浩市 ほか

公式サイト 公式Instagram

Photography : Nobuko Baba(SIGNO)
Hair&Make-up : FUJIU JIMI
Art Director : Kazuaki Hayashi(QUI / STUDIO UNI)
Text&Edit : Yusuke Takayama(QUI / STUDIO UNI)

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